2010年01月10日

「28日後…」

28日後...(特別編) [DVD]
28日後...(特別編) [DVD]
posted with amazlet at 10.01.10
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2008-12-05)
売り上げランキング: 4797

ダニー・ボイル監督が放つ新感覚サバイバルホラー。感染した人間は凶暴化するウイルスが蔓延したロンドン。感染を免れたジムと仲間たちは、未来を救うわずかな可能性を信じて旅立つ。

某漫画の影響でゾンビモノに興味が湧いたので借りてきました。
ところが観てみるとゾンビモノでは無かったんですよね。
だって。追いかけてくる人間はまだ死んでないんだもん。

これはウイルスに感染し凶暴になった人間から逃げ惑うホラー映画であり、
希望を求めて仲間たちと旅に出るロードムービーでもあり、
閉鎖環境で顕在化する人間の本質を描いた人間ドラマでもあるという、
極めて多面的な要素を持った作品ですね。
あとそこに恋愛要素と親子愛がスパイスとして加味されている感じかな。

静と動のコントラストが、ストーリー、映像、音楽、すべての面で際立っています。
特にスピード感のある映像と、ひねりのある音楽使いが印象的です。
空っぽの廃墟と化したロンドン市街やイギリス郊外の牧歌的な風景も見ごたえアリ。

話はともかく、映像と音楽だけでも見る価値あるんじゃないかな。
わりと僕好みの作品でした。

★★★★☆
posted by レイバック at 11:05 | Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月27日

今年読んだ小説ベスト10。


第一位 「新世界より」 貴志祐介

新世界より 上
新世界より 上
posted with amazlet at 09.12.27
貴志 祐介
講談社
売り上げランキング: 11095

溢れるイマジネーション。圧倒的スケール。文句なしのエンターテイメント大作。



第二位 「冷血」 トルーマン・カポーティ

冷血 (新潮文庫)
冷血 (新潮文庫)
posted with amazlet at 09.12.27
トルーマン カポーティ
新潮社
売り上げランキング: 26450

ずっしりと心に響きます。帯に書かれている通り、ノンフィクションノベルの金字塔。



第三位 「犬身」 松浦理英子

犬身
犬身
posted with amazlet at 09.12.27
松浦 理英子
朝日新聞社
売り上げランキング: 61486

文学好きさんもエンタメ好きさんも(もちろん犬好きさんも)納得。味わい深き一冊。



第四位 「漂流」 吉村昭

漂流 (新潮文庫)
漂流 (新潮文庫)
posted with amazlet at 09.12.27
吉村 昭
新潮社
売り上げランキング: 18736

人間の強さと弱さを余すことなく描き出した傑作サバイバル小説。



第五位 「破獄」 吉村昭

破獄 (新潮文庫)
破獄 (新潮文庫)
posted with amazlet at 09.12.27
吉村 昭
新潮社
売り上げランキング: 92337

脱獄のプロ、佐久間の体力&精神力に圧倒されます。いやはや超人だ。



第六位 「ドリーミング・オブ・ホーム&マザー」 打海文三

ドリーミング・オブ・ホーム&マザー
打海 文三
光文社
売り上げランキング: 400412

インモラルで官能的な一冊。刺激が欲しい人はどうぞ。



第七位 「どうで死ぬ身の一踊り」 西村賢太

どうで死ぬ身の一踊り (講談社文庫)
西村 賢太
講談社
売り上げランキング: 18484

第八位 「小銭をかぞえる」 西村賢太

小銭をかぞえる
小銭をかぞえる
posted with amazlet at 09.12.27
西村 賢太
文藝春秋
売り上げランキング: 205001

第九位 「二度はゆけぬ町の地図」 西村賢太

二度はゆけぬ町の地図
西村 賢太
角川書店
売り上げランキング: 95514

これが私小説だと!? 最低だけど最高。西村賢太。わたくしが溺愛している作家です。



第十位 「ミノタウロス」 佐藤亜紀

ミノタウロス
ミノタウロス
posted with amazlet at 09.12.27
佐藤 亜紀
講談社
売り上げランキング: 78059

こんな話は俺には絶対書けない。作者の力量に脱帽。





正直、今年は体調不良などもあり、あまり量を読めなかったんですよねぇ。
それでもまぁランキング記事は毎年恒例ですので、一応心に残っている本を10冊選んでみました。
年末年始の本選びの参考にでもしていただけましたら幸いです。
来年はたくさん読みたいなぁ。どうか良作にめぐり逢えますように。

それではみなさま良いお年を。



2008年に読んだ本ランキング
http://cab10.seesaa.net/article/113724074.html

2007年に読んだ本ランキング
http://cab10.seesaa.net/article/75520762.html

posted by レイバック at 11:57 | Comment(3) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「動物化するポストモダン―オタクから見た日本社会」 東浩紀



オタクたちの消費行動の変化が社会に与える大きな影響とは?気鋭の批評家が鋭く論じる画期的な現代日本文化論。

大きな物語」を失ってしまった社会においては膨大なデータベースから産み出される「小さな物語」をつまみながら日々慎ましく暮らしてゆくしかないのかな。みんながノレる「話」なんてもはやないのさ。

タグ:東浩紀
posted by レイバック at 11:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月13日

「犬身」 松浦理英子

犬身
犬身
posted with amazlet at 09.12.13
松浦 理英子
朝日新聞社
売り上げランキング: 126326

「ホモセクシャルじゃなくてドッグセクシャル?」「性同一性障害じゃなくて種同一性障害?」
子供の頃から「自分は犬である」と夢想してきた八束房恵は、思いをよせる女性の飼い犬となるため、謎のバーテンダーと魂の契約を交わし、その願いどおりに犬となる――


いやー面白かったです。
子供の頃からずっと、犬になりたい、自分は犬だと夢想してきたタウン紙編集者房江が、謎のバーテンダー朱尾の導きによって、牡の子犬フサに変身するというなんとも荒唐無稽なお話(※ここまでが前半部分)なんですが、これが不思議と、なんの違和感もなくスムーズに読めてしまいますね。

フェティシズム全開の緻密な描写が続く前半パート、人から犬に変身したフサが飼い主梓の抱える問題に足を踏み入れていく後半パートで、文学作品からエンターテイメント作品に、物語の趣きがじょじょに変化していきます。

文学的な香りを好む人にとっては後半パートが通俗的すぎると思えるのかもしれませんが、落ちるべきところにすとんすとんと話が落ちてゆく心地よさ、全体を俯瞰してみた時の物語の収まりの良さは、どう考えても美点でしょう。(村上春樹はこれ読んで見習えよ。まじで)

主要な登場人物から脇役にいたるまで各キャラの書き込みも実に丁寧ですし(とくにバーテンダー朱尾がいい!)、巻末に近づくにしたがってページをめくる手が加速していくような抜群のリーダビリティと、官能的ですらある緻密な表現力、この二つを併せ持つ作家はなかなか日本にはいないんじゃないかな。ただ、ひとつ、問題点を挙げるとすれば――
寡作だということか(笑) (この作品は七年ぶりの長編だそうです)

★★★★★★
文学作品としてもエンタメ作品としても読めるボーダーレスな傑作。
タグ:松浦理英子
posted by レイバック at 12:41 | Comment(2) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月08日

「ミノタウロス」 佐藤亜紀

ミノタウロス
ミノタウロス
posted with amazlet at 09.12.08
佐藤 亜紀
講談社
売り上げランキング: 82473

二十世紀初頭、ロシア。人にも獣にもなりきれないミノタウロスの子らが、凍える時代を疾走する。―文学のルネッサンスを告げる著者渾身の大河小説。

地主の子ヴァシリが混沌とした革命期のロシアを駆け抜ける青春物語ですね。
まぁ青春というには少々血にまみれすぎておりますが(笑)

抜群のリズムを持つ引き締まった文体。重厚で濃密、芳醇な物語世界。
この作品には日本の小説の枠から飛び出すようなスケール感がありますね。
とにかく暗いし重いし救いはないし、けっこうずーんときますけど、その重さがまったく不快じゃないんだよね。なんでだろう。
身体の深部になにか楔でも打ち込まれたような、そんな不思議な余韻を残すお話でした。
これなら倍の分量があっても良かった。また時間を置いて再読してみたいと思います。

★★★★☆
タグ:佐藤亜紀
posted by レイバック at 23:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする